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(雑音) (雑音)

『……きみは、《カイロウドウケツ》、を知っているかい

海、については、この前話をしたね
その海の深いところ、深海に生息していた海綿の仲間で
ガラス質の網目でできた、チューブのような構造の身体をしているんだ
そんな見た目で、れっきとした生物なのだというから、嘗ての自然というものにはつくづく驚かされる

何より驚くのは、またこの生物の中に住み着く生物がいる、ということだ
《ドウケツエビ》、と呼ばれるその生物は、生まれたばかりの小さな頃に、この細かな網目から入り込む
そして、内部で成長して出られなくなり、生涯をそこで、番とともに暮らすのだという

なんとも小さな世界
そしてあまりにも美しい世界だ


――ここから出たい、とは言わないさ
わたしもまたこの小さな世界を、おなじくらい美しい、と思っている』



(雑音)